「出梅」がない? ~雑節~

 気象庁によると関東甲信地方の梅雨明け平年日は7月20日ごろ(30年間の平均)となっているが・・・・。かって梅雨明け後の真夏の晴天を狙った仕事の行程が梅雨明けが定まらずに随分と天気に振り回された記憶がある。今年の梅雨明けもそんな様相を呈するのか? そこで最近55年間の梅雨明け日について平年日とは別に集計してみた。(梅雨入り梅雨明け日(1951-2005年)参照)

 これによると梅雨明け日は、平均すると7月19日となるが、7月1日から8月4日までばらつき、さらに7月19日と7月23日に比較的顕著なピークのある二山型の頻度分布になっている。そのため19日に最も頻度が高いのに平均はやや20日の方にずれる傾向にある。これに関しては1日位のことだからどうのこうのと言うことでもない。それよりもむしろばらつきの方が関心事で、この間いずれの日も梅雨明けとなるのは11%以下、平年日前後1週間の出現率は45%以下、不明もあるということだから、いつの間にか梅雨明けしていたということもあり得る。最近10年間でみても同じ傾向を示し、平年日より2週間以上両極端にずれる場合があり、8月に入って梅雨明けというのも異常ではなくなっている。

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 因みに同地域同期間の梅雨入り日に関する統計では、これも出現分布は一山型とは言えないが、6月9日が出現最も多く、ばらつきは5月30日から6月22日、平年日前後1週間の出現率は60%で梅雨明けと比べると出現傾向ははるかに明瞭に現れていると言える。(ただし異常な1日だけ除いた場合)

 ところで民俗・年中行事の季節暦に使われる雑節の中には「入梅」があるが、「出梅」(梅雨明け)に関する暦節がないのはどうしたことか。他にこの頃の雑節として「半夏生」があり、これは梅雨後期の目安となるが、田植えの農事の節目に使われると言う。また二十四節気には梅雨明け頃に「小暑」や「大暑」があり、梅雨明けは概ねこの間に暑い日がやってくるという事で梅雨明けを暗示することにはなるが、いずれも直接「出梅」に言及しているとは言い難い。これらのことを併せてみると地域を限定しても梅雨明けは非常に曖昧で定まり難しということで、敢えて節目を定めずともよいということになったのだろうか...?

追記:二十四節気は中国伝来といわれ中国古代文明の黄河中流域地方の季節が元になっているので、日本の季節感とは多少ずれる場合がある。雑節はこれを補うために日本独自に定めたもので中国伝来のものも含まれている。中国で「出梅」は、「入梅」「梅雨」「半夏生」等とともに現用語となっている。日本でも明治時代の手紙には、時節の挨拶に梅雨明けは「出梅」が使われていたとのこと。また昭和51年頃の歳時記には7月11日が「出梅」の記載もみられるが現在はその存在が影薄になっている。