エルニーニョ発生!影響は? ~低温・多雨~

先月6月の季節予報で気象庁はエルニーニョ現象の発生を予想していましたが、今月の予報ではすでに6月にエルニーニョが発生、それに伴い今夏の季節予報も若干修正されました。これは2002年夏に発生して以来7年ぶりとなります。これまでこの観測では春に発生することが多く継続期間は半年から1年半ほどで、今回も1年間ほど継続するものとみられています。気象庁の観測資料によるとエルニーニョは1951年春に発生してから今年は14回目でこの間概ね4年周期となるが、1990年代以降はこの発生周期が長くなる傾向が現れている。
 エルニーニョ現象は、一昨年発生したラニーニャ現象とは逆で東太平洋赤道域のペルー沖海水温が異常に上昇する現象で、世界的に異常気象発生の有力な原因と考えられている。この中で一躍注目されたのが1982~83年に発生したエルニーニョで規模が大きく、世界各地で干ばつ、寒波、熱波など、日本では長梅雨寒で北海道・東北は冷害に見舞われました。またペルー沖では飼料となるアンチョビーが不魚でこの代わりに大豆が使われたため、この輸入が減った日本では豆腐が値上がりするなどの社会現象が現れました。この他1953年、1987年の発生時にも北海道・東北で冷害が起き、1976年にはヨーロッパで猛暑、アラスカで暖冬、アメリカで記録的な寒波、干ばつなどありました。その後は1987年のエルニーニョ発生時はこれが終息した1988年に、1997~98年には1982年と同規模のエルニーニョが発生し世界各地で異常気象が多発し、日本では暖冬になっています。
 今夏はこれまでのところ西日本方面で記録的豪雨に襲われ、長梅雨となっており、北日本方面では冷夏の予想も出ているようですが東日本ではこれからどうなるのか気にかかるところです。
 従来の予報解説ではこの現象発生時の夏季には西日本方面で低温、日本海側で降水量が多く、北日本と南西諸島では日照が少ないなどの傾向があり、関東地方はいずれも平年並みとなっていた。最近の解説ではやや修正され全国的に低温傾向を示しており、そのため当初今期の関東地方の高温傾向の予報がやや緩められたものとみられますが、かって現れたような異常気象の発生との関連については特に注目されてはいないようです。なぜだろうか・・・・・?
 そこでこれまでどのような発生と経過を辿ってきたのか調べることにしました。ここではこの期間均質性のある対象データとして東京の6~9月の平均気温と降水量(雨量)の積算値としました。(気象庁「気象統計情報」参照)


エルニーニョ発生時の気温・雨量集計

これによると1990年ころまでは、エルニーニョ発生時の夏場は、気温は極小、雨量は極大のパターンを示すことが多く、この現象が終わった年の夏場にこの極小、極大が現れる事例がそれぞれ3~4例、またこの現象が1年以上継続して次夏季に及ぶのが2例あり、テレコネクション(遠隔影響)を考慮して次年度までの傾向を含めるとこの現象発生時の夏場は低温(極小)で、多雨(極大)というパターンが顕著に現れているとみることができる。
 しかし最近の2回(1997年、2002年)はこのようなパターンが現れているとは見ることはできず、気温、雨量とも平均的(平年並)となっている。ただし2003年冬にエルニーニョが終息したあと北・東日本中心に10年ぶりの冷夏となっている。ここで冷夏といっても温暖化などの気温上昇トレンドの中にあって絶対値そのものは過去と比べて低くなく、その前後と比べて低い<極小>ということで、この場合は日照不足といった方が適切な表現になるかもしれない。
 このように最近は発生頻度が減少し、この規模との関連でかってあったような異常気象との関係についても影響度が弱くなっている印象があります。しかし1993年の場合、弱いエルニーニョ発生時(記録上非発生)に極端な気温低下、雨量過多の変化を示した例もあって、必ずしもこの規模に関係しているともいえない。
 今夏はすでに折り返し点を迎えており、劇的な変化は予想されていないがこの影響が次年度に引き継がれることもあるので引き続き豪雨、冷夏など異常気象については注目する必要があるでしょう。




エルニーニョ現象を学ぶ (気象ブックス)
成山堂書店
佐伯 理郎

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