列島縦断型2年振り上陸 ~台風情報~

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過去の縦断型台風経路図

先月30日にフィリピンの東海上で発生・発達した台風18号は、8日5時過ぎ強い勢力のまま愛知県知多半島付近に上陸し日本列島を縦断しました。2007年9月の9号台風上陸以来2年ぶり、これは東日本に上陸(伊豆半島)した縦断型で、西日本に上陸して縦断する型は2004年の23号以来5年ぶりとなります。
 今回の台風は発達して中心気圧が910hPaまで低下し、最大風速55m/s以上の暴風域を伴ったまま北西進し、南大東島付近を過ぎるころから転向して本土南海上を北上するコースを辿りました。
 この段階で気象庁は危険な進入進路として警戒をするよう注意をうながし、多くの気象報道でも史上最強とか伊勢湾台風の再来とかの情報が飛び交うになりました。
 しかし過ぎてみれば、強風や豪雨による人的被害(死者5人、負傷者120人以上)も少なく、竜巻による被害が関東地方(九十九里、龍ヶ崎、土浦)であったものの、土砂災害や注目された高潮被害も比較的軽微で、防災知識や対策が広く浸透しているせいと思わせるのだが、結果的には過剰とも思えるこのような情報がなぜ出てきたのか、過去の台風情報から何かしら真相が分かるのではと思い調べることにしました。(気象庁「気象統計情報」参照)

 過去の記録によると、今回の台風の強さや進路と似たような台風として、最近では2004年10月の23号(T0423)がある。この台風は四国、関西に上陸して関東の北で太平洋に抜けていてやや弱い台風だが被害(死者110人)は今回よりも大きい。また上陸地点が近い事例では進入進路がやや異なるが紀伊半島に上陸した伊勢湾台風(T5915)があり、この台風の上陸時の中心気圧は929hPaで観測史上2位(統計開始以前の室戸、枕崎台風を含めると4位)となっている。このときは高潮による被害が名古屋に集中して死者が5千人を超え突出している。また今回とよく似たコースを辿った台風として1979年10月の20号台風(T7920)がある。この台風は接近途上の南海上で870hPaまで中心気圧が下がり、現在も観測史上最低記録となっているが、上陸時の中心気圧は965hPa付近まで上昇し、被害は23号(T0423)と同程度となっている。(下図参照)
 発生・発達が西太平洋のほぼ同じ海域にあるこれらの台風の特徴としては、進路が太平洋岸に沿って北上しながら上陸することで、台風進行方向前方の南東方向に開けた湾や地域に強風や高潮が現れやすく、さらに時期的には秋雨前線が南岸に停滞して、これを刺激して豪雨となる地域が拡大し、また上空に強い寒気が入ると今回のように竜巻や雷が発生しやすくなるということが言える。
 このような過去の記録からみると、今回はやはりこれらの台風との共通点が多くあり、かっての大型台風の襲来を彷彿させるものとなったのかもしれない。幸いにも過去にあったような甚大な災害に至らなかったのは、予報精度の向上と防災意識が行き渡っていることがあげられるが、油断した人もいたのではないだろうか。
 特に今回は昨年から何度も接近があったものの、東海上で転向したり、南海上で消滅したりして日本列島に見えない壁があるかのようにブロックされていたような状況が続きました。調べると記録上これまで上陸のなかった年は4回あり2年続きというのはなく、今年も台風シーズンも終りに近ずきつつあるころでした。
 従来からの格言に「天災は忘れた頃にやってくる」と言うのがあり、長周期で起きる大地震のように忘れていたということではないのですが、これを見据えたかのように言わば被害甚大定番コースで襲ってきた今回の台風は、普段から防災と備えを怠ることのないようにという教訓を示唆しているようで、これからも「災いは油断したときにやってくる」ということを肝に銘ずる言葉にしようと思っています。